おひさまとともに

農家デビュー!おいしく安心安全な野菜を作りたい。農業そして、社会福祉士としてたまに(障がい)福祉についても考える。

農業+福祉2

障がい者だからって、稼ぎがないと思うなよ。著:姫路まさのりを読んで。

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 この本を読んでみて、障がい者であっても働いて、それぞれが生きがいをもった生活を送っている事実があった。

今じゃ就労支援や障がい者雇用なんて言葉をよく耳にするようになったが、ひと昔前は障がい者が外に出ることも許されない、そんな雰囲気があった。

 障がい者の理解がある程度認識され、世に出るきっかけとなったのが、1964年の東京オリンピックパラリンピックである。当時も「障がい者を見世物にするな」「ケガをする」「危ない」などの反対派が多数いたそうだ。

しかし、その中で開催されたパラリンピックで、必死になって競技する障がい者に心を打たれた者も多くいたそうだ。これを契機に障がい者の理解も少しずつ進むこととなった。

 

障がい者パラリンピックに出て分かったこと

 それは、参加する海外に比べて日本は障がい者支援が遅れていたことだ。

海外の選手の車椅子は自分専用(マイカー)であったが、日本は病院や施設にあるものを利用する。つまり、日本選手は皆たいてい同じ車椅子であった。一方外国人選手たちは様々な種類の車椅子を乗りこなしていたそうだ。

 また、日本選手は病院や施設の利用者が大半を占めていたが、海外の選手はそうした施設から出て社会復帰を果たして健常者と変わらぬ環境で働いている人が多かったという。

それだけ、海外の参加国の方が障がい者に対しての支援が進んでいたということだ。

 今回、おそらく開催されるであろう東京オリンピックパラリンピック。そして、史上初2度も開催されるパラリンピック+コロナ禍でのパラリンピック。果たしてどのような形となるのか、何を残す大会になるのか。日本の変わった姿を見てみたい。

 

働いていると働かされているは似て非なる

 障がい者が働くには、障がい者気持ちよく働き、やりがい(生きがい)を持たなければならない思う。

させられる仕事では、「ミスをしない」「怒られないように」「しょうがないからやる」というマイナス感情が生まれてしまう。実際、障がい者の事業所内の仕事を例えても、同じことを何時間も、そして一日中。さらにまた明日もか…。なんてことの内容が多い。

 やるだけやっても工賃が低いし、せっかく貯めた工賃も通帳に入れられて使わないこともある。通帳もそうだがある程度稼いだお金は、書面なり本人たちに分かるように見せてあげないと。職員だけが知っている、そんな話はないなと思う。

お金の話は重要で、例えば「今どれだけあって、利用料はこれ。そんでこれだけ工賃で余ったお金があるから、好きなもの買ってみる?」なんての会話があってもいい。言ってみれば工賃だって給料。職員は給料?障がい者は工賃?これは私的にも疑問だ。

 この本では、レストランで働く障がい者のことが書かれている。はじめはネガティブな感情があったそうだが、一般客に褒められることをきっかけに「お客様に喜んでもらいたい」「お客様の笑顔が見たい」と自分たちが感じる仕事の意味さえも見出していった。

障がい者は、仕事を覚えることに加えて、そういった自己認識を抱くにも、時間がかかるかもしれない。しかし、丁寧にゆっくりと学んでいけば、いつかは誰でも必ずそうした思いが芽生えるのではないだろうか。」と著者は言う。

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ここに書かれた言葉は印象的であった。改めて「働くとは?」を考えさせられる。

そして、「働いている」ことに誇りを持ってほしいと思う。

 

ソーシャルファームという形

 ソーシャルファームとはヨーロッパ発祥で、障がい者ないし労働市場にて、不利な立場にある人々の雇用を創出するためのビジネスである。障がい者だけでなく、シングルマザーや高齢者等、働きたくても働けない人を幅広く受け入れている。

 ソーシャルファームの定義はいくつかあるが、その中でも「障害のある立場にある従業員と、障害のない従業員との機会均等が保障され、全ての従業員が同等の権利および義務を有する」とある。

例えば、就労系事業所でもよく「利用者」と「職員」と分けられるが、分け隔てることなく一緒に働く仲間として相談にのったり、一緒にお昼を食べたり。仕事の進め方について話したっていい。

そんな平等な関係が生まれればいいなと。

 

障がい者だって立派に稼いでいる事実。面白い本でした!